2019 年 11 巻 3 号 p. 239-244
症例の概要:患者は初診時50歳女性.1993年本学歯学部附属病院補綴科を咀嚼困難,外観不良を主訴に来院した.臨床的諸条件が低下している残存歯を部分床義歯の支台歯として適応し,支台装置に磁性アタッチメントを選択して部分床義歯を装着した.この症例の変遷に合わせて補綴治療を行い約20年を経過したので報告する.
考察:支台歯の歯冠歯根比を改善することで,術前より支台歯に加わる着力点を低くした状態になり,結果的に支台歯の動揺を抑えることが可能となり,長期的に安定した術後経過を示したと思われる.
結論:歯槽骨の吸収した残存歯でも歯冠切断して歯冠歯根比を改善すれば長期に残存することが可能であり,その状態での維持力は磁性アタッチメントを用いることが有効であることが示された.