2019 年 11 巻 4 号 p. 332-338
近年のインプラント治療で審美性の維持獲得も患者の満足度に影響している.審美領域におけるインプラント治療では欠損歯および硬軟組織の量と周囲組織形態との調和が重要である.フルマウスリコンストラクションにおいては前述の項目に加え,咬合高径やリップサポートの変化による顔貌への影響など調和のとれた最終修復物を見据えたアプローチが必要となる.また作り上げた審美性は一過性のものとしてはならず,長期に安定させたい.連結上部構造製作時には不適合を最小限にするIAT(口腔内接着技法)を用いることで良好な経過を追っている経験を基に,さまざまな治療要件を持った審美インプラント症例を供覧したい.