2019 年 11 巻 4 号 p. 327-331
前歯部欠損は審美領域と称されるだけに患者と術者ともに関心の中心は審美性の回復にある.歯の喪失によりほぼすべての症例で周囲組織はボリュームを減ずる.したがって理想的なポジションに歯冠を位置付ける補綴主導型インプラント治療では,よりティッシュマネージメントの重要性が増す.補綴設計の工夫により外科的侵襲の軽減や治療期間の短縮ができる場合もある.治療計画の立案にあたっては患者側の要件を十分に考慮したPatient-Oriented Strategyが必要である.カンチレバーやガム補綴などを応用した補綴的な戦略も考慮したティッシュマネージメントに関して考察する.