日本補綴歯科学会誌
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◆企画:第128 回学術大会/臨床リレーセッション2 「部分床義歯の力学を再考する〜天然歯を守るインプラント支持の活かし方〜」
パーシャルデンチャーの力学を再考する
残存歯の保護を第一とした動かない義歯
山下 秀一郎
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2020 年 12 巻 1 号 p. 16-22

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抄録

 部分床義歯は歯列の部分的な欠損を補綴するために装着されるものである.その基本的な考え方の中で,“残存組織の保護”が最も優先される事項である.義歯の設計原則の第一には,“義歯の動揺の最小化”がうたわれており,これは,機能時の義歯の変位を少なくすることによって支台歯の負担過重を抑制することを目的としている.義歯の動揺の抑制にとって,強い維持力は決して必要ない.アンダーカット維持に代表される機械的維持力を高めるだけでは,支台歯に負担を強いるだけである.支持と把持の作用を中心に機能時のわずかな可動方向を規制することで,最小限の維持力でも十分に安定した義歯を製作することが可能である.

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© 2020 公益社団法人日本補綴歯科学会
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