2020 年 12 巻 3 号 p. 280-283
症例の概要:患者は,19歳男性.下の前歯にインプラント治療ができるか相談したいとの主訴で来院した.高所での作業中に顔面から転落し,下顎骨骨体正中部粉砕骨折などで,下顎前歯部の広範囲の顎堤欠損を生じた.同部位に口腔外から腸骨移植を行い,その後にインプラントや歯冠補綴による補綴処置を行った.
考察:本症例では,広範囲の骨欠損に対し,腸骨移植および遊離歯肉移植術を併用することにより機能的で審美的なインプラント補綴を行うことができた.
結論:現在のところインプラント周囲組織は良好であるが,移植骨の骨吸収に関しては,注意深く経過観察を行っていく必要があると考えられる.