2020 年 12 巻 3 号 p. 292-295
症例の概要:患者は69歳の男性で,下顎全部床義歯の床下粘膜の疼痛と咀嚼困難を主訴に来院した.上顎義歯は咬耗以外に問題は認めなかったが,下顎義歯は床縁,適合,咬合,人工歯排列位置など多くの問題を認めた.まず,下顎義歯のみを暫間義歯として製作し,上顎義歯は人工歯咬合面の修理を行った.その後,閉口印象法を用いて上下顎全部床義歯を製作した.
考察:治療終了後は良好に経過している.早期に機能回復を行い,良好な患者との関係を構築できたことも,最終義歯の患者満足度の向上につながったと考えられる.
結論:旧義歯の問題点を的確に抽出し,暫間義歯製作と義歯修理を選択したことで,早期に機能回復を行うことができた.