2020 年 12 巻 4 号 p. 364-367
症例の概要:患者は82歳女性.咀嚼時における上下顎全部床義歯の脱離を主訴に来院した.新義歯製作において,片側性咬合平衡を確立するために,顎堤上の片側性咬合平衡が得られる領域を記録した上下顎模型を規格化撮影し,オクルーザルマップを作成した.その分析結果をもとに臼歯部人工歯排列を行った.
考察:オクルーザルマップと片側性咬合平衡の確立に主眼を置いた人工歯排列によって,主訴が改善でき良好な結果を得ることができた.
結論:本症例で用いたオクルーザルマップは,上下顎堤の対向関係の診査および片側性咬合平衡を確立するための人工歯排列の指標として非常に有用であった.