2020 年 12 巻 4 号 p. 368-371
症例の概要:64歳男性.口底および舌癌術後の補綴歯科治療について,手術担当医より術前に依頼され当院歯科を受診した.術後,機能回復および補綴装置の形態検討のため治療用義歯を用いて機能訓練を行った後,最終補綴装置として上顎部分床義歯および下顎顎義歯を製作した.
考察:術後早期より治療用義歯を用いて補綴装置の形態検討を行ったこと,その際に言語聴覚士が立ち会い嚥下と構音の変化を確認しながら歯科医師と連携したことが,患者の口腔機能改善とともに満足度を高めることに結びついたと考えられる.
結論:機能運動に調和した補綴装置の形態決定により,適切な機能回復が可能となった.