症例の概要:85歳男性.「入れ歯の外側に食べ物がたまる.食事時の痛み,入れ歯使用時に会話がしにくい」を主訴として来院した.医療面接,診察・検査後,「上下顎全部床義歯の不適合,義歯床研磨面形態不良に起因した咀嚼障害と発音障害」と診断した.口腔衛生状態の改善,顎堤の健全化を図り,上下顎金属床義歯を装着した.
考察:パラトグラム法による発音機能の改善,義歯床翼部形態と周囲筋の調和により,床研磨面の食渣の消失を認めた.咀嚼スコアは初診時39.4,新義歯装着1か月後81.1になった.
結論:義歯装着3年が経過し,審美的,機能的に満足を得た.患者の健康増進に寄与できたものと考える.