2021 年 13 巻 1 号 p. 74-77
症例の概要:61歳女性,左側臼歯部の歯肉腫脹のため咀嚼できないことを主訴に来院した.上下顎両側臼歯部に歯の欠損があり,上顎左側犬歯,第二小臼歯は歯根が破折していた.臼歯部欠損による咀嚼障害と前歯部不良補綴装置による審美障害の解決のため欠損部のインプラント補綴治療を行った.
考察:大臼歯の欠損により,犬歯・小臼歯に加わった歯根破折を誘発する過剰な咬合力に対し,両側臼歯部咬合による咬合力の適切な配分,犬歯誘導による過剰な側方力の緩和を図ることにより,長期的に安定した歯周組織の状態が得られたと考える.
結論:片側遊離端欠損のインプラント義歯治療では歯周組織に対する配慮とプロビジョナルレストレーションによる評価が必要である.