補綴歯科においても重症化予防,先制医療の考え方は重要であり,補綴歯科治療を困難にさせるハイリスクな病態を作らないような個々の状態に応じた予防策が求められる.そのようなリスクをわれわれ補綴歯科医が予測できる臨床指標が必要であり,同時に一般の医療関係者や患者自身が理解できる臨床指標の設定も必要である.
そのなかで,高齢者の「食べる力」は重要事項であり,それは口腔の因子だけではなく,食行動,食生活の因子,さらには環境因子や個人因子をも考慮した,「総合力」であると理解すべきである.最終的に,「食べる力」を表す臨床指標と最終アウトカムを確立し,国民と医療関係者に周知する必要がある.