2021 年 13 巻 3 号 p. 194-199
多くの下顎無歯顎者に対して,Implant overdenture(IOD)は著明な改善効果のある補綴装置であることは疑いようのない事実である.しかしその一方,その臨床応用には1)経済的コスト,2)心理的コスト,3)生物学的コスト,4)時間的コストといったような障壁がある.
これらの負担はValue-Based Dentistry(VBD): Value=Quality/Costという概念の分母部分に相当する.
したがって,これらの“コスト”を小さくすることができるならば患者のValue=受益はさらに大きくなり,IODがより普及しやすい補綴オプションになると思われる.
本稿ではそうしたVBDコンセプトを意図したIOD症例を実際の術式とともに供覧する.