2021 年 13 巻 3 号 p. 265-268
症例の概要:47歳女性.前歯部の審美障害,臼歯部の咀嚼障害を主訴として来院した.左右臼歯部の長期咬合喪失と前歯部の咬耗により,咬合位の低下,咀嚼機能障害,審美障害が生じていた.治療用義歯による咬合挙上によって臼歯部咬合の安定を図った後,前歯部の補綴歯科治療を行うことで患者の主訴は改善された.
考察:先ず治療用義歯で臼歯部の咬合を安定させることにより,咬合挙上および前歯部の歯冠補綴を問題なく行うことができた.
結論:重度咬耗症に対し咬合挙上を行った後,上顎前歯部への固定性補綴装置の装着,欠損部への可撤性部分床義歯を装着したことにより,審美・咀嚼機能を回復できた.