2021 年 13 巻 3 号 p. 261-264
症例の概要:患者は49歳の男性,頻回する上顎総義歯の破折と咬合時の義歯の動揺を主訴に来院した.旧義歯形態の不備,不適切な顎間関係と不安定な咬頭嵌合位による機能時の義歯の安定不良が認められた.治療用義歯にて適切な義歯形態や顎間関係を回復し,機能性・審美性に留意した最終義歯を製作した.
考察:ゴシックアーチ描記法により顎間関係の精査を行い,適切な顎間関係にて補綴処置を行ったことと,機能と審美性を考慮した義歯の設計により咀嚼能力の改善と良好な経過を獲得した.
結論:適切な顎間関係や咬合平面,咬合様式による咬合平衡の獲得が良好な経過に寄与し,咀嚼機能等に対する患者満足度の向上が認められた.