2022 年 14 巻 1 号 p. 52-60
目的:ポリエーテルエーテルケトン(以下PEEK)のマイクロ波加熱処理による変形量とCandida albicans(以下C. albicans)に対する殺菌効果を評価し,義歯床用材料への応用の可能性を検討した.
方法:(1)PEEKと義歯床用レジンにマイクロ波加熱を加え,変形量を測定した.(2)PEEK上にC. albicansを付着させたものに,義歯洗浄剤,マイクロ波加熱殺菌を行い,生菌数を確認した.同様に(3)PEEK上にC. albicansバイオフィルムを形成させたものに,義歯洗浄剤,マイクロ波加熱殺菌を行い,生菌数を確認した.
結果:(1)PEEKのマイクロ波加熱による変形量は僅少であり,加熱回数による影響は認められなかった.一方,義歯床用レジンは,加熱する回数の増加に伴って変形量も増加した.(2)PEEKの義歯洗浄剤による殺菌率は99.9%,マイクロ波加熱殺菌では100% であった.(3)PEEKに形成したバイオフィルムの義歯洗浄剤による殺菌率は99.7%,マイクロ波加熱殺菌では99.9% 以上であった.
結論:PEEKはマイクロ波加熱による変形と殺菌効果に優れており,義歯用材料をはじめとする口腔内アプライアンス材料への応用が期待される.