日本補綴歯科学会誌
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◆企画:令和3年度九州支部学術大会/生涯学習公開セミナー  「基礎から学ぶ審美補綴~安定した予後をえるために必要なこと~」
修復治療における複雑化の回避とマネージメント
日高 豊彦日高 亨彦高橋 和也
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2022 年 14 巻 2 号 p. 144-149

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抄録

 修復材料は生体にとりすべて異物であり,辺縁歯肉縁下に修復材料を設置する必要がある場合歯周組織と歯の関係を考慮する必要がある.生体内の深い位置へ修復物が進入すると,歯周組織を再構築するため周囲組織が根尖側方向へ移動するか,再生能力の高い生体の周囲組織では吸収と再生が繰り返されることにより,軽度の炎症状態が継続すると考えられる.次に患者の歯周組織のバイオタイプ(biotype:生物学的な性質)を診断し考慮する必要がある.過去に報告されたバイオタイプの分類において軟組織が薄いなど審美的変化のリスクが高い症例は結合組織移植等により歯周組織環境を変更できる可能性がある.また,歯冠の豊隆も歯種によりさまざまであり,修復物に与える豊隆は形成限界面の設定位置で形態を変えるべきであると我々は考えている.

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© 2022 公益社団法人日本補綴歯科学会
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