2022 年 14 巻 2 号 p. 185-188
症例の概要:78歳女性.下顎総義歯の動揺による咀嚼不良を主訴に来院した.下顎の顎堤吸収は著しく,下顎総義歯は維持・安定が得られていなかった.高度な下顎顎堤吸収による義歯の維持不良に起因する咀嚼障害と診断し,インプラントオーバーデンチャー(IOD)による補綴治療を行った.
考察:本症例はバーアタッチメントを選択し,義歯装着後の粘膜の沈下を考慮して咬合圧印象を行ったことで,インプラント体への負担軽減と機能時の粘膜面の適合性向上につながり,長期的な良好な経過が得られたと考えられる.
結論:著しい顎堤吸収を有する下顎無歯顎患者に対してIODによる補綴治療を行い,良好な結果が得られた.