2022 年 14 巻 2 号 p. 189-192
症例の概要:56歳の男性,臼歯部の齲蝕による咀嚼困難を主訴に来院した.右側歯列は犬歯を含む反対咬合であったが,患者希望から臼歯部のみ補綴治療を行った.プロビジョナルレストレーションの右側の咬合様式は,臼歯部のみのグループファンクションとした.9カ月後,機能的咬合印象法を用いて,プロビジョナルレストレーションの咬合面を補綴装置に再現した.
考察:長期経過後のプロビジョナルレストレーションの咬合面を最終補綴装置に再現し,臼歯部の側方圧を分散したことで安定した咬合関係を維持できた.
結論:犬歯を含む反対咬合症例に対して,臼歯部のみのグループファンクションとすることは安定した咬合関係の維持に有効であった.