2022 年 14 巻 3 号 p. 297-300
症例の概要:63歳男性.下顎左側臼歯部のブリッジ脱離,全顎に及ぶ過度な咬耗による咀嚼困難および審美不良を主訴に来院した.咬合高径の低下,補綴空隙の不足に対し,可撤性治療用義歯を用いて咬合拳上を行った.最終的に,固定性および可撤性補綴装置を製作した.
考察:治療用義歯を用いて咬合挙上を行い患者の新しい咬合高径への適応を判断することで,患者に適した咬合回復を安全かつ確実に行うことができたと考えられる.
結論:過度な咬耗を伴う部分歯列欠損を有する患者に対し,咬合挙上を行い十分な補綴空隙を確保することは,機能性と審美性の回復に有効な手段であることが示唆された.