2022 年 14 巻 3 号 p. 317-320
症例の概要:67歳男性.入れ歯が痛くてかめないとのことを主訴に来院した.まず,咬合平面および調節彎曲の修正を目的に治療用義歯を製作した.咬合調整を繰り返し,中心位での安定したタッピングが得られるよう調整した.咬合が安定し,治療用義歯での咀嚼が可能になったため,治療用義歯の形態を可及的に踏襲して最終義歯の製作を行った.
考察:治療用義歯にて中心位でのタッピングによる咬合調整で義歯の安定を図り,その形態を移行することで予知性の高い最終補綴装置の製作が可能であり,口腔関連Quality of Lifeと義歯に対する満足度の改善ができた.
結論:治療用義歯を用いて咬合の安定を確認しながら補綴装置の製作を行うことで良好な結果を得ることができた.