2022 年 14 巻 3 号 p. 333-336
症例の概要:76歳の男性.6| の動揺,義歯床下粘膜の疼痛と下顎義歯床下粘膜への食渣の停滞を主訴に来院した.下顎の顎堤吸収は著しく,義歯の維持・安定は不良であった.複製義歯を使用して上下顎総義歯の製作を行い,下顎には軟質リラインを行った.
考察:複製義歯を用いたフレンジテクニックにより,旧義歯の情報も参考に適切な人工歯排列位置や研磨面形態を決定でき,人工歯と床研磨面形態が周囲筋と調和し,義歯の安定に有用であった.また軟質リラインを応用することで下顎床下粘膜の疼痛を改善できたと考えられる.
結論:下顎が高度に吸収した症例に対して,複製義歯によるフレンジテクニックと軟質リライン材を応用した結果,機能回復を行うことができた.