症例の概要:77歳男性.左側下顎歯肉癌 T4aN2bM0 のため,下顎区域切除術,左側頸部郭清術(Ⅰ-Ⅲ),プレート+腹直筋皮弁による再建術が実施されていた.術後の下顎位の偏位および舌圧低下による咀嚼障害と診断し,口蓋床を装着した.その後,最終補綴装置では上顎に総義歯形態の舌接触補助床および下顎に顎義歯を装着した.
考察:今回の症例では,上下顎新義歯装着後に舌圧および咀嚼機能の向上を認めた.咀嚼,嚥下に留意した形態の義歯を製作したことにより良好な結果が得られたと考える.
結論:口蓋部への舌の接触を考慮した最終補綴装置および機能訓練による舌圧向上により,比較的硬度の低い食品の摂取が可能となり咀嚼障害の改善を認めた.