日本補綴歯科学会誌
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専門医症例報告
上顎癌切除術後の機能障害を顎義歯で改善した一症例
齋藤 由貴
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2022 年 14 巻 4 号 p. 411-414

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抄録

症例の概要:患者は76歳男性,がん専門病院にて上顎右側歯肉癌と診断され,上顎部分切除術を施行し,暫間上顎顎義歯を装着後,『発音しづらい』との主訴で,本院補綴科に紹介状を持参して来院した.右側口蓋欠損の鼻腔および上顎洞と交通による構音・咀嚼障害と診断した.右側口蓋欠損部の確実な封鎖と口蓋床研磨面の形態に配慮した義歯の製作を計画した.

考察:咀嚼,嚥下,構音機能に配慮した形態を最終義歯に付与した結果,良好な予後につながった.

結論:右側口蓋欠損患者において欠損腔の閉鎖や口蓋床研磨面の形態は咀嚼,嚥下および構音を発揮するうえで重要であり,それらに留意した最終義歯の製作が機能障害の改善に寄与したと考えられる.

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