症例の概要:47歳女性,左側上顎骨骨肉腫に対し,上顎亜全摘,開頭腫瘍切除術,遊離筋弁による口腔再建術を実施した.筋体移植直後の術中に,事前製作した補綴装置をチタンスクリューで口腔内に固定,約1か月間装着したままとした.スクリュー除去後は術後瘢痕収縮に対し形態調整等を行い,筋弁形態安定に伴い良好に可撤性補綴装置を使用することができた.
考察:術中より補綴装置を継続使用することで,下垂しない良好な口蓋形態が付与された.また上皮化後も長期的に安定し,審美性,会話や咀嚼機能の回復も良好であった.
結論:再建を必要とする症例の生命予後は厳しく,患者のQOLを考慮した低侵襲かつ1回の手術で行える本治療法は有用であると考えられた.