2023 年 15 巻 2 号 p. 158-163
現在歯数の多寡のみではなく,義歯の使用や適合状態が食・栄養状態と関連していることが観察研究から報告されている.観察研究からの知見では「補綴治療を行い口腔の機能を改善させたとき,それが食・栄養状態の改善にも寄与するか」という問いに答えることはできない.このトピックについては長らくエビデンスが不足していたが,近年,優れた介入研究結果が報告され,補綴治療と栄養指導の組み合わせが食・栄養状態の改善に効果的であることが示唆されている.本稿では補綴治療のアウトカムとして食・栄養を設定し,これまでのエビデンスを整理するとともに,今後の課題・展望について触れてみたい.