2023 年 15 巻 2 号 p. 219-222
症例の概要:75歳男性.上顎歯肉の腫脹と義歯の咬合の不具合を主訴に来院した.上顎部分床義歯と下顎天然歯に過度な咬耗を認め,咬合高径の低下と両側咬筋の疲労を自覚していた.咬合挙上と咬合平面の修正を図り,下顎天然歯の歯冠補綴と上顎オーバーデンチャーの製作を行った.
考察:上顎をオーバーデンチャーにすることで咬合高径や咬合平面の修正が容易になり,下顎の咬耗した天然歯も合わせて補綴することで,義歯の安定が得られ,咀嚼能力が改善し,高い口腔関連quality of lifeが維持された.
結論:過度な咬耗により咬合高径の低下を生じた患者に対し,オーバーデンチャーを用いて咬合高径と咬合平面を回復し,良好な経過が得られた.