2023 年 15 巻 2 号 p. 231-234
症例の概要:患者は60歳女性.咀嚼困難と審美不良を主訴に来院した.残存歯は重度歯周炎に罹患しており,歯周治療などの補綴前処置後,上顎に全部床義歯,下顎にコーヌステレスコープ義歯を装着し,9年間の経過観察を行っている.
考察:コーヌステレスコープ義歯の優れた清掃性と二次固定効果により,骨植不良な残存歯の動揺は減少し,機能時の義歯の安定が得られた.それにより,咀嚼機能は回復し,審美性に関しても満足が得られ,良好な予後に繋がったと考える.
結論:重度歯周炎を伴う少数歯残存症例に対してコーヌステレスコープ義歯にて補綴治療を行うことにより,患者の口腔関連QOLの向上に寄与することができた.