2023 年 15 巻 2 号 p. 235-238
症例の概要:患者は42歳男性で,上下顎左側第二大臼歯のオールセラミッククラウンの破折による咀嚼障害を主訴に来院した.審美性の回復を強く望んだため陶材焼付冠を選択した.
考察:破折はセラミックを用いた補綴装置のトラブルで最も多く,臼歯部の歯冠補綴装置で形態,機能に加えて審美性を回復する場合には最も注意を払うべき項目となる.第二大臼歯は第一大臼歯についで大きな咬合力が発揮される部位であることから側方位での咬合接触を少なくできる即時離開咬合を付与した.
結論:対合関係にある大臼歯部の咀嚼障害の患者に即時離開咬合を付与した陶材焼付冠による補綴処置を行ったところ良好な予後が得られた.