2023 年 15 巻 2 号 p. 243-246
症例の概要:患者は67歳の女性.上下顎全部床義歯の不適合を主訴に来院した.下顎全部床義歯は顎堤吸収が高度で,粘膜面の適合が不良であり,義歯床床縁の設定位置,人工歯排列位置,および研磨面形態が不適切であり,義歯機能時の安定は損なわれていた.そこで,ピエゾグラフィを用いた全部床義歯を製作した.
考察:ピエゾグラフィを応用することで,口腔周囲筋や舌運動と調和した人工歯排列位置と義歯床研磨面形態が付与され,咀嚼機能の回復に良好な結果を得ることができたと考えられる.
結論:本症例においては,ピエゾグラフィを応用することで,機能時における義歯の安定を阻害することのない全部床義歯を製作することができた.