2023 年 15 巻 3 号 p. 337-340
症例概要:74歳男性.上顎右側臼歯部のブリッジの動揺および,義歯の不適合による咀嚼困難を主訴に来院した.重度咬耗による咬合崩壊に対して,固定性補綴装置および部分床義歯を用いた咬合再構成を行った.
考察:補綴空隙が不足した患者に対して診断用ワックスアップを参考にした咬合挙上を行うことで,適切な咬合を付与することができた.本症例では臼歯部の咬合支持を義歯が担うことになるため,今後の経過観察において顎堤の変化と咬合面の咬耗に対する対応が重要となる.
結論:重度咬耗により咬合崩壊した患者に対して咬合再構成を行った結果,主観的咀嚼能力および口腔関連QoLが向上し,良好な結果を得ることができた.