2023 年 15 巻 4 号 p. 499-502
症例の概要:78歳男性.咀嚼時に下顎前歯が上顎口蓋粘膜と接触し疼痛が生じ咀嚼が困難であることを主訴に来院した.咬耗による咬合平面の不正および臼歯部欠損による咬合平面の不正による咀嚼障害と診断した.補綴空隙の不足が認められたため,オクルーザルスプリントにより咬合挙上し,顎位の評価後に固定性補綴装置および部分床義歯を装着した.
考察:咬合再構成するための顎位を,オクルーザルスプリントを用いて評価し,補綴装置を製作することにより,予後が長期的に安定した治療を行えることが示唆された.
結論:臼歯部欠損と咬耗により喪失した歯冠形態を,補綴装置を用いて咬合再構成を行うことにより咀嚼機能を回復することができた.