2023 年 15 巻 4 号 p. 507-510
症例の概要:患者は66歳女性. |1 人工歯の脱離と,下顎全部床義歯の動揺による咀嚼困難と疼痛を主訴に来院した.下顎高度顎堤吸収に対しフレンジテクニックを用いて全部床義歯の製作を行い,義歯床粘膜面にアクリル系軟質リライン材を適用した.
考察:フレンジテクニックにより口腔周囲筋の機能を反映した義歯床研磨面形態を付与し,義歯の維持,安定を得られたこと,軟質リライン材による顎堤粘膜の疼痛の緩和が,良好な予後に寄与したと考えられた.
結論:下顎高度顎堤吸収の無歯顎患者において,適切な義歯床研磨面形態を付与し,軟質リライン材を義歯床粘膜面に適用した全部床義歯により,咀嚼機能の改善と高い満足度を得ることができた.