2023 年 15 巻 4 号 p. 511-514
症例の概要:患者は40歳の女性,顎の痛みとかみづらさを主訴に来院した.検査の結果,咀嚼筋痛障害および臼歯部咬合性外傷を伴う咀嚼・審美障害と診断した.スプリントの装着によって咀嚼筋痛症状の消退を図った後,智歯移植による臼歯部咬合支持の確立と,オールセラミックブリッジによるアンテリアガイダンスの再構築を行った.
考察:自家歯牙移植による咬合支持の確立とプロビジョナルレストレーションを用いて検討した適切なアンテリアガイダンスの付与が,顎口腔機能の長期維持に有効であったと考えられた.
結論:臼歯部の咬合支持の確立および適切なアンテリアガイダンスを回復する補綴歯科治療を行い,長期的に良好な結果を得ることができた.