2024 年 16 巻 1 号 p. 111-114
症例の概要:56歳(初診時)女性.顎関節部の疼痛および下顎運動障害による咀嚼困難を主訴に来院した.低位咬合および咬合干渉を認めたため,スタビライゼーションスプリントを用いて改善を図り,プロビジョナルレストレーションを用いた咬合再構成を行った後に,最終補綴治療に移行した.
考察:プロビジョナルレストレーションによる咬合再構成後に,長期にわたって顎関節の不快症状が再発しないことを確認し,最終補綴装置の設計指針とした.その結果,生理的な下顎位での最終補綴装置製作がなされたと考えられた.
結論: 低位咬合を伴う顎機能障害患者に対して,顆頭安定位を基準とした生理的な下顎位で最終補綴を行い,良好な結果を得た.