2024 年 16 巻 1 号 p. 203-206
症例の概要:55歳の男性.義歯の破折を主訴に来院した.口蓋裂の既往があり幼少期からスピーチエイドを使用していたが3日前に破折した.検査の結果,多数歯齲蝕,重度慢性歯周炎および鼻咽腔閉鎖不全と診断し,全残存歯の抜歯を行った.使用していたスピーチエイドは,良好に機能していたことから形態を参考にしてスピーチエイド付き全部床義歯を製作した.
考察:口腔内への関心の低い患者に十分に治療説明を行い継続した通院を実現できた.また,全部床義歯による補綴治療を選択し予知性の高い治療ができたと考える.
結論:使用中のスピーチエイド形態を複製し,新義歯に組み込むことで鼻咽腔閉鎖不全と咀嚼障害を改善し良好な経過が得られた.