2024 年 16 巻 2 号 p. 233-238
アンテリアハイパーファンクションシンドロームとは,上下顎臼歯部の咬合支持がなく,残存している下顎前歯部が過大な咬合力を生み出すことにより生じる現象である.そのような症例においては安定した強固な臼歯部の咬合支持の回復と前歯部に加わる咬合力のコントロールが重要である.そのためにインプラントを用いた補綴治療は非常に有効な選択肢の一つである.しかし,たとえインプラントを用いてもインプラント体や上部構造にトラブルを引き起こす可能性もあることから,その補綴設計や咬合状態のチェックは注意深く行わなければいけない.