2024 年 16 巻 2 号 p. 315-318
症例の概要:患者は59歳男性,歯を失いかみにくいとの主訴で来院した.下顎歯肉癌による下顎区域切除に伴う下顎歯列部分欠損による咀嚼障害と診断した.新義歯を製作し,安定した咬合を回復することで咀嚼機能の回復を図り,咀嚼障害の改善を図った.
考察:機能的に歯列が整うことで咬合接触面積の向上,咬合力の上昇を認めた.それに伴い,咀嚼サイクルは安定した.咀嚼能力検査,平井の食品摂取可能食品質問表を用いた咀嚼評価において改善を認めた.
結論:顎欠損において適正な義歯の装着は,安定した咬合関係を確保し,咬合力の向上,咀嚼能力の回復に寄与し咀嚼障害の改善に寄与すると考える.