2024 年 16 巻 4 号 p. 417-420
症例の概要:患者は,79歳男性で,右側頰粘膜癌切除術後,義歯が装着できず咀嚼困難を訴え来院した.口腔前庭の喪失と切除部の瘢痕化による開口障害を認めたため,口腔周囲の軟組織の可動域を精査した後に,床縁の位置を決定し,上下顎全部床義歯を製作した.
考察:本症例は,口腔腫瘍の切除により,義歯床の辺縁封鎖が困難であった.しかし,粘膜の可動域を考慮した,適切な床縁の設定により,義歯の維持および安定が得られた.
結論:頰粘膜癌切除後の開口障害を伴う無歯顎患者に対し,床縁の位置設定に配慮し,全部床義歯を製作したことにより咀嚼機能が回復した.