2025 年 17 巻 3 号 p. 161-167
前歯部のインプラント治療は機能的な回復だけでなく,高い審美的な結果が求められる.そしてその審美的な結果は,長期にわたり安定して維持されなければならない.しかし, 抜歯後に生じる唇側骨の持続的な吸収は,前歯部インプラント周囲組織の安定を困難なものとしており,前歯部インプラント治療の成功の鍵は,この唇側骨の持続的な吸収への対応と制御にあるといえる.そこで本稿では,抜歯前の唇側骨の健全性と唇側歯根の状態に留意し,抜歯即時埋入か待時埋入かという判断に加え,Partial Extraction Therapyの応用の可否を考慮した治療戦略を解説していく.