2026 年 18 巻 1 号 p. 28-32
上顎前歯部の欠損補綴は歯周組織の安定を含めた総合的調和と高い審美性が求められる.固定性インプラント治療では,顎堤吸収に伴い大規模な硬・軟組織の移植が必要となり,補綴的難易度と患者負担が増大する.一般的な部分床義歯では,既製材料による色調再現の限界や金属製支台装置による審美不良を伴う.
本症例に用いたスウィングウェッジアタッチメントを使用した分割義歯(セクショナルデンチャー)は, 欠損側隣在歯のアンダーカットにウェッジが入りこみ維持力を発揮することで,支台歯の自浄性確保と側方力低減が実現する.これらの機能・清掃性に加え,歯科技工士による形態・色調再現により得た審美が共立した新しい部分床義歯の選択肢として提案できる.