日本補綴歯科学会誌
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◆二次出版企画:Journal of Prosthodontic Research/69巻2号 「Efficacy of initial conservative treatment options for temporomandibular disorders」
顎関節症に対する初期保存的治療の有効性: ランダム化比較試験のネットワークメタアナリシス
―二次出版論文―
西山 暁山口 賀大大井 一浩湯浅 秀道松香 芳三安部 貴大松田 慎平渡邊 友希鈴木 善貴柏木 美樹高才 東菅井 健一星 佳芳小野 康寛深澤 敏弘松村 英尚藤原 夕子石山 裕之
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2026 年 18 巻 2 号 p. 144-155

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抄録

本論文は,Journal of Prosthodontic Research の同名の出版物の翻訳を邦文論文として出版するものである.引用の際には原出版物の「Yamaguchi Y et al. J Prosthodont Res, 2025; 69(2): 173-180」を記載すること.

目的:本ネットワークメタアナリシス(network meta-analysis: NMA)は,顎関節症(temporomandibular disorder: TMD)患者に対する有効な初期保存的治療戦略を同定することを目的として,ランダム化比較試験(randomized controlled trials: RCTs)を対象に実施した.

研究選択:2000年1月から2021年7月までに発表されたTMD治療を比較したRCTを対象として,PubMedおよびEmbaseデータベースを用いた包括的電子検索を行った.疼痛関連TMD診断基準である Diagnostic Criteria for Temporomandibular Disorders(DC/TMD)およびResearch Diagnostic Criteria for Temporomandibular Disorders(RDC/TMD)に基づき,筋痛(myalgia)または関節痛(arthralgia)と診断された患者を対象とした研究を組み入れた.12種類の治療法およびプラセボを相互比較の対象とした.バイアスリスクはRisk of Bias 2.0を用いて評価した.各研究の直接比較に基づくフォレストプロットはMetaInsightを用いて作成し,NMAはR統計ソフトウェア(netmeta)により実施した.

結果:疼痛を評価した24件のRCT(1,336例)および最大開口量(maximal mouth opening: MMO)を評価した12件のRCT(614例)が同定された.低出力レーザー療法(standardized mean difference[SMD]:−2.12,95%信頼区間[CI]:−3.18~−1.06),セルフエクササイズ(SMD:−1.51,95% CI:−2.82~−0.2),スタビリゼーションアプライアンス(St-A)(SMD:−1.16,95% CI:−2.02~−0.29)は,疼痛改善に有効であったが,エビデンスの確実性はいずれも極めて低かった.MMOの改善に関しては,セルフエクササイズ(SMD:0.71,95% CI:−0.58~2.01),St-A(SMD:0.65,95% CI:−0.09~1.39),低出力レーザー療法(SMD:0.63,95% CI:−0.34~1.6)が有効であったが,エビデンスの確実性はいずれも極めて低かった.

結論:St-A,セルフエクササイズ,低出力レーザー療法は,TMDに対する初期治療として有効である可能性が示唆された.

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