2026 年 18 巻 3 号 p. 201-205
高齢者における嚥下障害と低栄養の関連およびその対策について概説する.高齢者の栄養状態は予後に強く影響を及ぼす.特に嚥下障害を有する者では,その半数以上に低栄養が認められ,栄養不良は視覚的評価だと見落とされやすいことが明らかとなっている.低栄養リスク評価ツールであるMNA-SFⓇは簡便かつ感度の高い評価法として有用であり,早期からのアプローチが重要である.さらに,禁食はエネルギー不足を招き低栄養を助長するため,可能な限り経口摂取を選択すべきである.筋タンパク合成能に関しては,若年者と比べて高齢者で低下することから,1食あたり約20 gのタンパク質摂取,特に朝食での積極的な摂取が推奨される.高齢者の体重増加には,エネルギー付加が必要であり,MCTオイルなどの活用が有効である.摂食嚥下障害患者に提供されることの多い嚥下調整食は,栄養の密度が低下しやすい点に注意が必要であり,栄養補助食品の併用が現実的である.高齢者では常食摂取を継続するには,舌圧や身体機能の維持は重要であり,低栄養予防には多面的介入が求められる.