抄録
目的:近年の歯学教育の改革に伴い,本学では平成18年度から技工操作が中心であった無歯顎補綴治療学の基礎実習を,臨床操作を可及的に多く取り入れた内容に変更した.本研究の目的は,プログラム変更前後において,実習内容の変更が学生の技術の修得や知識の整理にどのような効果を与えたのかを比較・検討することである.
方法:平成17年度から19年度までの本学歯学部第4学年生を対象とし,基礎実習修了後に「臨床実習における患者に対して,当該処置や操作を実施できると思うか」および「基礎実習が当該講義で得られた知識の再確認あるいは整理に役立ったか」の2つの項目についてアンケートを行った.実習内容については,平成17年度は技工操作が主体であったのに対し,平成18年度は臨床手技を中心とした内容へ変更し,さらに平成19年度は,臨床手技と技工操作のほぼ全ての内容を網羅する内容へと変更した.
結果:臨床手技に関する6項目で,「処置や操作ができる」あるいは「知識の整理に役立った」と回答した学生が年々増加した.また平成17年度に比較して平成19年度では,23項目の実習内容において「処置や操作ができる」あるいは「知識の整理に役立った」と回答した学生が調査年度間で有意な差が認められた.
結論:無歯顎補綴治療における一連の診療術式を踏まえた基礎実習への変更は,臨床手技と技工操作に関する知識と技能の習得に有効であることが示唆された.