日本補綴歯科学会誌
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原著論文
QFD法を用いた人工歯選択に関する調査
星合 和基岡崎 祥子田中 貴信小木曽 太郎福澤 蘭今泉 章阿河 伸一蒔田 眞人高橋 知央
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キーワード: QFD法, 人工歯の選択, 職域
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2010 年 2 巻 1 号 p. 19-25

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抄録

目的:人工歯の選択方法の実情を把握する目的で,QFD(品質機能展開)手法を用いて調査し,歯科医師と歯科技工士(以下,技工士)間の人工歯に対する要求や考え方の違いや,職場種類による認識の違いについて検討を加える.
方法:人工歯に対する要求項目を抽出するための1次アンケートに基づいて,19項目の2次調査項目を作成し,この調査項目を用いて関心度の高い項目からVAS法による再調査を行い,要求項目を明らかにした.調査対象は,大学職員歯科医師19名・大学附属病院技工士15名・開業歯科医師21名・開業技工士12名である.
結果:前歯に関しては歯科医師・技工士とも大学職員か開業かに関わらずほぼ同様な傾向を示し,臼歯に関しては歯科医師・技工士ともに,大学職員の歯科医師・技工士では咬合に関する項目,開業歯科医師・技工士では自然観に対する項目に関心が高く,両者の傾向が異なった.各質問項目間の相関が高い項目数は,歯科医師・技工士ともに,大学職員の歯科医師・技工士では相関の高い項目が少なく,開業歯科医師・技工士では相関の高い項目が多かった.主成分分析の分析上位項目は,歯科医師は主成分2までで寄与率が約60% となったが,技工士は寄与率が30%を超える項目は無く多項目を要求しているが,それでも主成分3までで60%以上になり両者とも少ない項目で説明が可能であった.
結論:人工歯に対する考え方は,前歯に関しては,歯科医師と技工士,さらには職場の違いにおいても明確な差は見られなかった.臼歯については,歯科医師・技工士ともに,大学職員では咬合に対する精度を重視し,開業歯科医師・技工士では自然観を要求していた.歯科医師は,大学職員では多種多様な嗜好を示し,開業医では形態が安定し調和の取れた人工歯を希望した.

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© 2010 社団法人日本補綴歯科学会
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