日本補綴歯科学会誌
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技術紹介
歯肉ラインを整える審美補綴法(BTAテクニック)の開発
坪田 健嗣
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2010 年 2 巻 1 号 p. 26-35

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抄録
目的:歯肉剥離や骨削除を伴う大掛かりな外科手術や矯正治療を行わずに,歯肉ラインを整え,後戻りもせず,長期的に歯肉を健康に維持できる審美補綴法,Biological Tissue Adaptation Technique(BTAテクニック)の開発
治療法:(1)審美的な観点及び,biologic widthを考慮し,設定した歯肉ラインの位置で電気メスを用い歯肉切除を行う.(2)支台歯形成のフィニッシュラインは歯肉切除をした高さにする.その後印象採得を行う.(3)補綴装置(ラミネートベニア,クラウン)は,マージン部を歯面にほぼ直角に立ち上げ,歯肉創面とほぼ同じ厚みで作製し装着する.
考察:本法を17症例実施し,経過観察したところ,歯肉ラインの位置が切端方向に後戻りせず,特に大きな問題もなく歯肉の健康も維持できることが認められた.その成功の理由として,健康な歯肉の条件となるbiologic widthを3次元的に維持でき,歯肉辺縁組織が補綴装置マージンに適合(密着)し隙間がなくなることで,歯垢の沈着を防ぎ,健康な歯肉が保たれるのではないかと思われる.また,歯肉の厚みが保たれ血流が良くなることで生物学的に有利な環境が作られるものと推察する.
結論:BTAテクニックは,主に補綴的手法により歯肉ラインを整える(根尖方向に移動)治療法として多くの利点を有し,長期的にも審美性と歯肉の健康を維持することができる.
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© 2010 社団法人日本補綴歯科学会
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