抄録
症例の概要:58歳の女性.右側上顎の腫脹・疼痛を主訴に来院した.口腔外科にて上顎右側歯肉癌と診断され,腫瘍切除後には7―1|の顎欠損が予想された.術前歯列の精密印象採得を行い,術後早期に機能と形態の回復を行う早期顎義歯を装着し,創部の安定を待ち最終顎義歯を製作した.
考察:口腔外科と連携した術前からの補綴的介入により術後すみやかに術前の形態を再現した補綴装置を装着することで,外観の早期回復だけでなく,嚥下障害や発音障害を最小限に留めることができた.
結論:上顎早期顎義歯を用いた補綴的リハビリテーションにより外観回復と機能低下の防止が図られ,患者の高い満足度が得られた.