2011 年 3 巻 1 号 p. 64-67
症例の概要:68歳上下無歯顎の女性.下顎顎堤の咀嚼時疼痛による咀嚼障害を主訴として来院.義歯に対して会話や審美面についての高い要求を持っていた.咀嚼時ならびに会話時の下顎全部床義歯の維持および安定不良と診断した.新義歯では,フレンジテクニックを用いて,人工歯の排列位置および機能的な義歯床研磨面の形態を決定した.また,静的パラトグラム検査を用いて上顎全部床義歯の研磨面形態を決定した.
考察:咀嚼時,会話時ともに義歯の維持・安定が得られたことによって,咀嚼ならびに会話時の問題点が改善されたと考える.
結論:本症例では,機能的アプローチを中心に置き新義歯作製を行った結果,良好な経過が得られた.