抄録
症例の概要:患者は60歳,女性.咀嚼および審美障害を主訴に来院した.重度の慢性歯周炎患者に対し即時義歯を装着し,早期に咬合の支持,審美性を回復させ経過を観察しながら最終補綴処置に移行した.
考察:即時義歯を装着したことにより,歯の欠損による咀嚼障害や審美障害などの弊害が最小限となり,最終補綴処置に至るまでに十分な前処置が行えた.
結論:本症例では,即時義歯を使用して適正な下顎位および咬合高径を与えることによって機能的,審美的ともに患者の満足を得ることができた.また,重度の慢性歯周炎患者の補綴装置として,可撤式部分床義歯は有効な処置法であると考えられる.