抄録
目的:特定高齢者候補者と非候補者の口腔内および咀嚼機能を調査し,比較を行うことで,特定高齢者候補者の口腔内の実態を把握し,基礎的なデータを提示すること,さらに基本チェックリストの各因子と咀嚼機能の関係を調査することを目的とした.
方法:北海道I町の134名を対象とした.はじめに,基本チェックリストおよび摂取可能食品アンケートについて回答を得た.次に,現在歯数を調査し,義歯装着者の義歯の床外形の適正度,義歯床の適合性,義歯の咬合面形態,上下顎の咬合接触関係を調査した.その後,義歯に対する満足度,適合性,疼痛,咀嚼のしやすさ,審美性,会話のしやすさについての自己評価を調査した.特定高齢者候補者群とそれ以外の非候補者群の各データの比較を行った.さらに,基本チェックリストの各因子と現在歯数,咀嚼スコアとの相関係数を求めた.
結果:特定高齢者候補者群の一人平均現在歯数,咀嚼スコアに低下が認められた.義歯の状態は下顎義歯の床外形と上顎義歯の適合が,自己評価では,義歯の満足度と会話のしやすさについてのスコアが,それぞれ候補者群で低下していた.咀嚼スコアと「生活機能」「運動機能」および「口腔機能」に弱い相関があった.
結論:介護予防事業において,特定高齢者の口腔機能の向上を行っていくことが重要であり,その際「口腔機能」のみならず全身の機能を考慮したアプローチが重要であると考えられる.