抄録
目的:本研究では,マイクロ波重合レジンの重合温度を直接かつ正確に測定し,重合温度の測定結果を電子レンジの出力にフィードバックすることで,重合温度をコントロールする新しいマイクロ波レジン重合法の開発を目的とした.
方法:レジン重合時の温度測定には,温度センサーとして蛍光式ファイバー温度計を使用した.この測定結果を出力にフィードバックし,重合装置の出力をコントロールする重合法を新たに開発した(フィードバック重合法).この重合法と比較するために,500 W・3分間の重合法,60℃と100℃でそれぞれ40分間加熱する重合法,70℃・24時間の低温長時間重合法の3 条件の重合法を設定した.これらの4条件で製作した試験試料に対して,適合性および,その他の理工学的性質について分析を行った.
結果:適合性試験,三点曲げ試験およびビッカース硬さ試験では,フィードバック重合法の値が他の重合方法と比較して同等かそれよりも良好な値を示した.一方,残留モノマー量測定試験と細胞毒性試験では,フィードバック重合法の値が低温長時間重合法に次いで不良な値を示した.
結論:フィードバック重合法重合法は,一部の結果を除き,適合性ならびに機械的性質に優れた重合方法であることが明らかとなった.